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相続税の申告手続きにおける相続代表者の役割

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2025年12月18日

1 相続代表者を選定した方が、相続税の申告手続きがスムーズに進む

相続代表者を選定した方が、相続税の申告手続きがスムーズに進み、結果的に、期限までにすべての手続きが行える可能性が高まります。

そもそも、相続代表者とは、法律で定められている者ではなく、一般に、事実上の相続人間のリーダー的存在のことをいいます。

本来、相続税申告においては、各相続人がそれぞれ申告書を作成し、申告を行うことになります。

もっとも、そうしてしまうと、それぞれで書類取得や書類作成の手間が増え、また、それぞれの申告書の内容が違うと税務調査のリスクも増えます。

相続代表者は、そういった負担やリスクを減らすために、相続人を代表して書類を取得したり、税理士への相続税の依頼を代表して行ったりします。

2 相続代表者を決めなかった場合のデメリット

仮に、相続代表者を決めず、それぞれで相続税の申告を行った場合のデメリットについて、具体的にご説明します。

⑴ 書類収集がスムーズに進まない可能性がある

相続税の申告においては、基本的に以下の書類が必要になります(具体的には、相続人が複数、遺産に不動産、預金、有価証券があり、その他、生命保険金の受取、葬儀費用の支払いがあるケースです)。

・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

・被相続人の住民票や除籍の附票

・相続人の戸籍謄本

・相続人全員の住民票や戸籍の附票

・相続人の身分証の写し

・相続人全員の印鑑証明書と遺産分割協議書または遺言書

・名寄帳

・登記事項証明書

・地積測量図や公図

・不動産の現況が分かる資料

・預貯金の残高証明書

・通帳

・既経過利息計算書

・有価証券の残高証明書

・生命保険の支払い通知書

・生命保険の契約書

・葬儀費用の領収書

・葬儀費用の明細書

・お布施の金額が分かる資料など

このように、相続税の申告を行ううえでは、多くの資料を収集する必要があり、これをバラバラに行うと、重複して集めてしまったり、反対に一部の資料が欠けてしまったりする可能性があります。

また、相続税の申告期限は、10か月であるため、基本的に10か月以内に書類すべてを揃える必要があり、万が一、期限までに申告が間に合わないと、無申告加算税や延滞税といったペナルティを課せられる場合があります。

⑵ 税務調査のリスクが高まる可能性がある

相続税の申告においては、税理士であっても土地の評価額を間違えることがあるほど、土地の評価方法が難しいため、別々に相続税の申告書を作ってしまった場合、土地の評価がそれぞれの相続人ごとで異なり、結果として遺産総額が相続人ごとに異なる可能性があります。

そうなった場合、本来では、遺産総額は同一になるはずであるため、税務署が、遺産総額が各相続人で違うことに疑問を思い、結果として、税務調査となるリスクが高くなる可能性があります。

⑶ 相続代表者を定めないことによるデメリット

このように、相続代表者を定めないと、相続人の負担が増加し、税務調査のリスクも高くなる可能性があるため、できる限り、相続代表者を決めておくことが大切になります。

また、相続税の申告を税理士に依頼する場合は、相続代表者が一人の税理士に依頼した方が良いでしょう。

3 相続手続きをトータルサポートしてもらえる事務所もある

これまでお話してきたとおり、相続代表者を定めた方が良いですが、なかには、相続人全員が平日は仕事で忙しく、各種書類の取得などができない方もいるかと思います。

そういった方向けに、相続税に関する書類(たとえば、戸籍謄本や名寄帳、不動産の登記事項証明書、預貯金の残高証明書、有価証券の残高証明書等)を代わりに取得してくれる事務所もあります。

そういった事務所では、相続税の申告もあわせてトータルサポートをしてくれる場合もありますので、なかなか時間が取れない方や書類取得にご不安な方は、トータルサポートをしてもらえる事務所にご依頼されることをおすすめします。

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