「相続税対策」に関するお役立ち情報
不動産を活用した相続税対策で注意すること
1 税理士に相談しながら行う
不動産を活用した相続税対策を行う場合、税理士に相談せず、不動産会社や金融機関などのアドバイスだけで物事を進めてしまうと、結果として、あまり相続税対策にならないばかりではなく、多額の借金を抱えてしまうことになる場合があります。
実際、金融機関から「節税になる」と勧められるがままにマンションを建築したものの適切に申告ができず、後日、税務調査に入られ、多額の追徴課税を支払うことになってしまった事例や、マンションの収益がほとんど上がらず、結果として多額のローンが残り、相続税はかからないが、財産もほとんど残らなくなってしまった事例などがあります。
不動産を活用した相続税対策を勧めてくる業者の中には、相続税対策といいつつ、あまり相続税に詳しくない業者や自己の利益のために悪質な不動産対策を提案する業者もあり、実際にもトラブルが多発していますので、相続税対策を行う場合は、必ず税理士に相談しながら進めることを強くおすすめします。
2 メリット、デメリットを把握する
不動産を活用した相続税対策については、メリットも大きいですが、他方でデメリットも大きくなる傾向にあります。
⑴ メリット
不動産を活用した相続税対策のメリットとしては、大きく相続税を抑えることができる可能性があるところです。
たとえば、不動産を活用した相続税対策の代表的な方法として、ローンを組んで賃貸マンションを建築するというものがあります。
そもそも、相続税上、1億円の現金と、時価1億円のマンションとは同じ1億円として評価するのではなく、一般に、時価1億円のマンションについては、相続税評価上、8000万円程度として評価される場合があります。
また、当該マンションを人に貸した場合、さらに評価額を下げることができ、7000万円程度として評価される場合があります。
そのため、ローンを組んで賃貸マンションを建設した場合、仮に1億円のローンを組んだ場合だと、相続税上はマイナス1億円のローンと7000万円のマンションが遺産となるため、3000万円も資産を圧縮することができ、その分相続税を抑えることができる場合があります。
⑵ デメリット
他方でデメリットとして、ローンをしてマンションを建築する場合、マンション経営が上手くいく必要があり、仮にマンション経営が上手くいかない場合は、相続税は抑えられるが、多額の借金が残る可能性があります。
実際、ローンを組んで賃貸マンションを建築したが、その後、空室が多くなり、ローンが払えず、他方で、マンションの修繕費などで反対に持ち出しが多くなってしまった事例も多々存在します。
このように、不動産を活用した相続税対策については、メリットも大きいですが、その分、デメリット(リスク)も大きいですので、実際に行う場合は、注意が必要です。
3 相続税に詳しい税理士にご相談を
税理士の中には、そもそも相続税に詳しくないものもいるため、不動産を活用した相続税対策を行う場合は、相続税に詳しい税理士にご相談されることをおすすめします。
そもそも税理士になるためには、基本的に試験を受けて合格する必要がありますが、当該試験には、相続税が必須科目となっていないため、相続税をほとんど勉強しなくとも税理士になることが可能です。
また、税理士の多くが所得税や法人税を主な業務分野にしており、相続税については、年間1件程度か、そもそも相続税の申告をしたことがない税理士も多くいます。
他方、相続税については、土地の評価や特例の適用など、税理士であっても間違えるほど複雑であるため、相続税対策を行ううえでは、高い専門性が要求されます。
そのため、仮に相続税に詳しくない税理士に不動産を活用した相続税対策を相談してしまうと、間違った相続税対策のアドバイスを受け、あまり相続税対策にならないだけでなく、逆にリスクを抱える羽目になる可能性もあります。
そのため、不動産を活用した相続税対策を行う場合は、相続税に詳しい税理士にご相談されることをおすすめします。
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