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生前贈与の失敗例

  • 文責:税理士 内堀昌樹
  • 最終更新日:2022年12月27日

1 間違った生前贈与をしてしまうとどうなるか

相続税対策として、生前贈与を活用される場合があります。

しかし、間違った生前贈与をしてしまうと、非常に重いペナルティが課せられる場合もあるため、注意が必要です。

具体的には、間違った生前贈与をした結果、税務調査に入られる場合や、悪質性が高いとして、重加算税として40%もの税金を追加で支払わなくてはならなくなってしまう場合があります。

重加算税について、例えば相続税額が1000万円だとすると、重加算税として40%加算される場合、相続税とは別に追加で400万円を支払わなくてはならなくなるということです。

2 生前贈与としての意味をなさなかった事例

それでは具体的に、生前贈与の失敗例について、ご紹介いたします。

代表的なものとして、形式的には生前贈与をしているが、実態としては、生前贈与をしているとは認められないという、いわゆる名義預金の問題があります。

例えばよくあるケースとして、親が子の名義の預金口座に、毎年110万円を振り込んでおり、通帳や実印の管理は親が行い、子は通帳の存在も知らないというケースが挙げられます。

この場合、形式的には、親のお金が子の通帳に移動していますが、実態としては、「親が子の名義の預貯金口座にお金を貯めていただけ」とみなされ、「親のお金である」と判定される可能性が高いです。

このように、形式的にお金を移したとしても、贈与の実態が伴っていないと、生前贈与とは認められない場合があるため、注意が必要です。

なお、名義預金として指摘されないようにするためには、預貯金通帳や印鑑を子が管理し、口座自体も入金だけでなく、子が出金もし、さらに、贈与契約書も作成しておいた方が良いでしょう。

また、専門家の中には、「名義預金は、贈与契約書を作れば問題なくなる」と誤った説明をされる方がいますが、たとえ贈与契約書が作成されていたとしても、名義預金とみなされる場合がありますので、注意が必要です。

3 高い贈与税を支払わなければならなくなった事例

次に、生前贈与の失敗例として、贈与契約書の書き方を間違えてしまい、多額の贈与税がかかってしまったという場合です。

具体的には、親が子に年間110万円を贈与する際に、逐一贈与契約書を作成するのが面倒という理由で、「親が子に、毎年110万円を20年間継続して贈与する」という内容の贈与契約書を作成したというケースです。

この場合、贈与契約書の作成時点で、親は子に「定期金に関する権利(20年間に渡り毎年110万円ずつの給付を受ける権利)」を渡したとし、2200万円の贈与があったものとして、贈与税が課せられる可能性があります。

そうなってしまった場合、675万5000円もの贈与税が課せられることになります。

このように、年間110万円を贈与するために贈与契約書を作成する場合は、どのような契約文言にするかも意識して、作成する必要があります。

4 相続税に詳しくない専門家の指示に従った事例

最後に、相続税に詳しくない専門家の指示に従った結果、相続税対策にもならず、反対に税金や専門家への報酬がかかった事例があります。

具体的には、相続税が安くなると専門家に教えられ、相続時精算課税制度を利用して、生前に親から子に土地を生前贈与したというケースです。

相続時精算課税制度とは、簡単にいうと、生前贈与したとしても、2500万円までは贈与税がかからず、かわりに生前贈与した額も含めて、相続税を計算するという制度です。

この相続時精算課税制度ですが、基本的に相続税対策になるケースは限られているのが現状です。

というのも、生前贈与したとしても、結局、生前贈与した財産が相続税の計算対象となるため、結論として相続税が変わらない場合が多いためです。

反対に、不動産を生前贈与した場合、たとえ贈与税がかからなかったとしても、登録免許税や不動産取得税といった税金や、名義変更際の専門家への報酬がかかります。

実際にあった事例でも、専門家のアドバイスのとおり、相続時精算課税制度を利用して不動産を贈与したが、結局、相続税対策にもならず、登録免許税や不動産取得税、名義変更のために専門家の報酬がかかってしまいました。

このように、専門家であっても、間違った知識を有している方がいるため、相続税対策をお考えの方は、相続税に強い専門家にご相談されることをおすすめします。

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